第六章:応用航海術/航海時のTIPS、襲撃機動の基礎原理

航海・戦務

  • VI. Tactical Navigation with some Keyword

6.1 序

うむ、前回は何か妙に追い込まれた気がするが、気を取り直して3時間目。
Wren『応用航海術、ですねーっ。
   でも、航海の基本はもうやってるようなのですが、操作はあれ以外にあるのですか?』
いやー、実のところ操作方法は前回やったとおりだな。別にあれ以上のことは・・・
と、言うわけで今回は休講(どげし
Wren『そー言うわけにはいかないと思いますーっ。
   というか、あるネタを無計画に突っ込むのがいけないと思いますっ!
   講習は計画的にいきましょう〜』
う、うむ。では、せっかく砲撃と魚雷の基礎講義も修了したことだし、それらを織り込んだ戦闘機動の基本を考えていこうか。

6.2 初期配置参考

Wren『あ、これは3章の3.2.2でやってますね?ここでは何を?』
うん、まぁ、繰法はあのとおりなんだけどね。今回は、実戦をふまえた初期配置というものを考えていこうかな、と。
Wren『港を出てから帰港するまでが戦闘ですからね〜』
そういうこと。
適当に並んでいるように見えて、結構それぞれ考えた位置をとっているんだ。
メインとする武装や個人の戦闘スタイル、部屋のルールでも変わってくる。


砲戦部屋で、味方と連携して敵をたたくなら当然、初期配置は味方の主力グループの近くにする方が良いし、囮や遊撃を志すならちょっと離れた位置からスタートしても良いわけだ。
また、開幕突撃を狙うなら最前列だし、敵の情勢を判断する余裕がほしいときは後列に展開、というようなパターンもある。
それと、フリーバトルの場合は序盤に壮絶な魚雷戦が予想される。
相手の雷装艦の初期配置などをよく観察して、槍ぶすまの少なそうな方面を予想しておくと被雷を未然に防ぐことも出来る。
Wren『吹雪や島風、さらには北上級なんかが固まってる方面は、特一級の危険海域になりますからねーっ』
そう、日本の駆逐艦軽巡洋艦は長射程の魚雷を装備している確率が高く、発射数も多い。要注意だね。
戦術的に言えば、同種の艦*1でグループを作ると、複数で一隻を集中攻撃して効果的に戦闘する、と言うことも考えるべきかな。
「戦力」というのは、装備レベルや技能の意味も当然大きいけど、最終的には「数こそ正義」という一面もある。
攻撃が相手に通用する範囲ならば、より多い数になった方が優勢になっていく。
詳しくは、「ランチェスター法則」あたりで調べてみるといいかな。
Wren『えーと、そうですね、多数でかかれば相手の対処能力を超えますから・・・
相手の一隻が沈むまでに、こちらの被害は1vs1での場合よりもかなり少なくなりますねっ』
まぁ、そんなわけで、一隻ずつ撃ち合いをしていくよりも、多数で少数を叩けるような状況に持っていきたいところだね。
このためにも、相手側の配置を確認しておくことが必要になるわけだ。
当然、味方の配置も連携をとりやすいような位置取りを考えて場所を選ぶ事が肝心だね。

6.3 戦闘類型とその考察

Wren『総員戦闘配置、ですーっ』
と、いうわけで戦闘開始だ。機関最大戦速・・・とばかりに、Fキーを押すわけだが。
いくつかの定跡的な行動パターンがあるので、それを紹介していこう。

6.3.1 初期移動

Wren『吶喊、吶喊ーっ、敵に向かって退却ですよーっ』
おーぃ。あまり笑えないジョークは控え目にしないか?講堂からの視線が冷たいし。
しかし。気が急くのは判るが、最初の針路のまま敵に向かってまっすぐGo!というのはかなりの蛮勇だ。
魚雷抱えて特攻、と言うのなら止めはしないけれど、砲戦をメインにするフネならばちょいとお薦めはしかねる。
理由はというと、主に次の2点から説明できる。

  • その1。射界の問題

フネに搭載している艦砲には、旋回角度に限界がある。
敵をまっすぐ前に見た場合、後部の砲は自分のフネの艦橋や煙突が邪魔になって射撃できないことになる。
ということは、使える武器は前についているものだけ、火力半減の状態で戦うことになる。

  • その2。挟撃脅威

まっすぐ前に突撃した場合、敵が幅広い隊形を組んでいたら・・・・
そう、まわりから滅多打ちに遭う。
Wren『えーと、ランチェスター法則で言うと、戦力は数の自乗に比例する、ということを統計から導いていますから・・・・
  一度に相手するのが仮に2隻だとしても、戦力比1:4と言う換算ですっ』
ということは?
Wren『こちらが沈むまでに相手のどちらかを中破させるのが*2限界ですーっ(TT』
上記から、ある程度慣れてきた艦長によく見られるのは、あらかじめ針路をやや斜めにとって航行するという方法が挙げられる。
初期針路に対して、概ね10〜30度程の開度を持った隊列を形成すると言うのが主なパターンで、特に砲撃限定部屋で多用される傾向がある。
この航路をとる利点は、自艦に対して敵の来襲方向を限定できるということがいえる。
Wren『あ、敵艦隊のいるおおよその方向は判っていますから、フネを斜めに向けていれば最初に傾けた針路と反対側から*3敵と接触することになるわけですねっ』
そう。何故これがメリットかというと、
Wren『あらかじめ、砲門をそちら側に向けておけば、発見次第攻撃を開始出来ますっ!』
ということで、先手をとりやすいし、それに全砲門を敵に向けることが出来るね。
ただ、このパターンは本当によく使われているので、相手に重雷装艦が居た場合には大きな被害を受ける可能性も高い。
まとまっているところを魚雷の群れで一網打尽、と言う危険性がある。
先にも言ったとおり、初期配置をよく見て、相手の作戦を読むことが大事だ。

6.3.2 突撃行動

前の項で、まっすぐ突っ込むのはお薦め出来ない、と解説したわけだが。
ただ、突撃がすべて悪い、と言う訳じゃあない。
十分な成算があっての賭ならば納得できるだろうし、逆に中盤以降、戦列を組んでの砲戦の真っ最中、なんてときには相手の隊列を乱して砲撃を中断させたり、砲撃に気をとられている敵を美味しくいただけたりする。
突撃と言っても、いくつかパターンがある。

  • I 開幕特攻

 すべての武装を魚雷にした、全魚と言われるスタイルのフネがとることが多い。
 とにかく序盤に突っ込んで、持てる魚雷をばらまくというものだ。
 成功したらそれなりなのだろうが、まぁ、ほとんど運任せの博打に近い。

  • Ⅱ 浸透突破

 FFなどの軽快艦艇で多用されるかな。南北に展開する隊列に先行して、敵の頭をすり抜けて後方に回り込む。
 ただ、その速度が足りないと、回り込む前に敵前衛に捕捉されてしまう。
 なので、この変形で、序盤初期位置からゆっくり前進、偵察情報が入って敵艦隊の動きが判ってから、手薄なところを選んで突撃、と言うのがお薦めだろう。
 案外と、時間がたつと中央部に戦力の空白が出来ることが多いので、そういったタイミングを掴めれば結構成功しやすい。

要は、周りとの協調や、敵の不意をつく行動にすることが出来れば特攻もまたとりうる戦術の一つ、と言うわけだ。
Wren『えーと、つまりですね。敵にばれたら奇襲にならないわけですねっ』
そういうこと。あと、味方の支援がない状態で突撃すると悲惨だぞ。
そりゃーもう、袋叩きに遭うわ、下手すると味方が居ると気付いてない雷撃艦が、背後からの一撃を決めてくれることまであるからなぁ・・・・・
Wren『え、えぅ・・・・それはキッツイですねーっ。
敵からは一方的にたたかれ、味方の支援はない・・・ですか。
情勢を見ない突撃は自滅への第一歩というわけですねっ』

6.3.3 偵察行動

そうだね。だから、「偵察」というのが重要になるわけだ。
偵察機にばれたら奇襲は成立しなくなるし、偵察範囲の広い小型艦が前線に展開するのも、射程がないからと言うのもあるけれど、偵察という役割を果たすためもあるんだ。
あと、開幕魚雷に対する警戒、と言う意味でも、探知範囲の広い小型艦が前線にいてくれると、主力部隊は長距離魚雷の警戒が出来るからかなりの助けになるね。
ただ、この場合、前線に出るには大量の魚雷をかわしきるだけの技術が要求されるのだけど。
Wren『あははーっ、北上なんかが居ると、ほとんど弾幕系STGのノリになりますねーっ』
ただ、偵察は味方を手助けする大きな手段だけれども、自分の戦果を出せるかというとそうでもない、ということになってしまうから、あまり報われないことも多い行為になってしまう。
このあたり、艦隊戦制度は大きな意味があったわけだ。
Wren『チーム対抗戦とかの場合は、偵察部隊の働きが死命を分けることもありますからねーっ』
もっとも、それも味方主力がその情報を活かしてくれなかったら・・・・
こういったことが、チャットに頼らなくても綺麗に連携がとれるようだと、それはものすごいチームだと思う。
各員が、それぞれの役割を理解して、その責任を果たすということは、当たり前のようでいてなかなか出来る事じゃあないからね。

"England Expects That Every Man Will Do His DUTY"
(英国は各員がその義務を遂行する事を期待する)

トラファルガー海戦、ナポレオンの大陸軍による英本土上陸を阻むため、西・仏の連合艦隊を迎撃するときにネルソン提督が発した有名な通信文だ。
この志は、後の日露戦争日本海海戦での有名な「Z旗」の通信にも受け継がれているね。
Wren『提督自身は、その海戦中に狙撃を受けて戦死してしまったんです・・・・
でも、敵の戦列を突破分断するという提督の作戦で、我が国はついに勝利を収めたのですっ!』

6.4 航海TIPS(中級)

と、余談が長くなった。
次は、ちょっと便利な小技の紹介だ。
といっても、一個しか手持ちのネタがないのだが。
マウスの左クリックで、他のフネを画面が自動追尾する機能のことは知っているかな?
まぁ、F7での半自動照準機能を使ったことがあれば、ターゲットロックとしての役割にもなるから使ったことはあるかも知れないね。それの応用だ。

※スタート後、自分のフネを左クリック。

これだけだ。何が出来るかというと、画面が自分のフネに連動して追従する。
いちいち、自分のフネの動きを追ってマウスを動かす必要が無くなる。

Wren『これはいいですねーっ。操作することが一つ減りますーっ!』
これと、F11でONにできるマウススクロールでのズームアップ/ダウンを活用すると、マウス操作に気をとられることなく自艦の周囲を警戒出来て、かつ画面が発射位置*4を基準にして動くから照準がつけやすい。
Wren『魚雷警戒もらくちんですね〜っ』

6.5 Postscript

おお、なんてこった。気がつけば、魚雷編よりも長くなってるぞ。
Wren『というか、航海術と言うよりもこれは初級戦術論に近いの・・・・』
おっとっと。
あー、なんだ、つまりは暴走?
たぶん9章の中身をかなり食っているような気がするんだが・・・
Wren『あ、あはは〜、そのときはまた何か別のネタを仕込んでください〜っ』
・・・・う、なんか目が笑ってないんだが、レンくん。
Wren『きっときのせいですよー?』
と、とりあえず、6限目、閉講!*5
Wren『では、また明日〜』

*1:速度や武装が近い

*2:同じレベルの武装・腕と仮定した場合

*3:相手が大迂回作戦をとらない限りは

*4:つまり自分のフネ

*5:嗚呼、只のぽややんじゃなかったのかッ?